台風対策で家でできること——
3日前・前日・当日を時系列で整理
天気予報で台風の進路が自宅のほうを向いている。まだ数日先の話だけれど、何かしたほうがいい気がする——そう思いながら、何から手をつければいいか決めきれないまま当日を迎えてしまう、ということはないでしょうか。
台風には、他の災害にはない特徴があります。数日前から進路がわかるということです。地震のように突然始まるわけではなく、備える時間が与えられています。ただしその時間は、思っているより短く区切られています。この記事では、家でできる対策を3日前・前日・当日の順に並べ、そのうえで「どこまでが間に合う話なのか」を過去の記録から確認します。
いつ、何をやるか
やることの中身より、順番のほうが重要です。買い物や補充は早い段階でしか成立せず、風が強くなってからでは外に出る作業自体が危険になります。先に時間で区切ってしまうと、判断が楽になります。
全部は無理という場合、優先度が高いのは「飛ばされるものを片づける」と「スマホを充電しておく」の2つです。前者は自宅と近隣の被害を減らし、後者は停電したあとの情報手段を確保します。どちらも費用がかからず、数十分で終わります。
家の外と窓まわり
台風の被害の多くは、風で飛んだものが何かにぶつかることで起きます。気象庁の階級では、最大風速33m/s以上で「強い」、44m/s以上で「非常に強い」、54m/s以上で「猛烈な」台風と表現されます出典。実際に2019年の台風15号では、千葉市で最大瞬間風速57.5m/sが観測されました出典。
飛ぶものを、なくしておく
ベランダや庭にあるもののうち、片手で持ち上がるものは風で移動すると考えて差し支えありません。植木鉢、物干し竿、サンダル、ゴミ箱、自転車のカバー、傘立て。これらを屋内へ入れるか、動かせないものは固定します。自分の家のものが割るのは、自分の家の窓とは限りません。
窓は、雨戸が最優先
雨戸やシャッターがある窓は、それを閉めるのがもっとも確実です。養生テープや飛散防止フィルムは、割れることそのものを防ぐ道具ではなく、割れたときに破片が飛び散る量を抑えるものです。雨戸のない窓を補う手段として使い、雨戸の代わりにはしない、という順序で考えると迷いません。カーテンやブラインドを閉めておくと、万一割れたときに室内へ入る破片が減ります。
排水を詰まらせない
ベランダの排水口、側溝、雨どいに落ち葉やゴミが詰まっていると、水がはけずにあふれます。前日までに取り除いておくだけで、浸水のリスクが下がります。数分で終わるわりに効果が見えやすい作業です。
台風の接近が報じられると、防災用品の注文は増えます。通販の通常配送は3〜5日かかるものが多く、進路が固まってから注文すると通過に間に合わないことがあります。買い足しが必要かどうかは、台風シーズンに入る前に一度確認しておくと確実です。
停電が長引いたとき、実際に何が起きたか
台風の停電は、多くの場合は数時間から数日で復旧します。ただし、そうならなかった例が残っています。
停電は最大約93万戸。ピーク時と比べて99%が解消するまでに、約280時間——およそ12日かかりました出典。
長期化した理由は、倒木や飛来物によって電柱が壊れ、断線が広範囲に起きたことです。破損・倒壊した電柱は1,996本。停電戸数がこれを上回った2018年の台風21号(最大約240万戸)でも電柱の被害は1,343本だったので、電柱の壊れ方が突出していたことになります出典。倒木は道をふさぎ、被害の確認と復旧作業そのものを遅らせました。
「復旧しました」が自宅に当てはまらないことがある
このとき「隠れ停電」と呼ばれる状態が問題になりました。電力会社のシステムは、高圧線の復旧作業が終わると「停電解消」と表示する仕組みになっています。そこから各家庭へつながる低圧線や引込線が壊れていても、システム上は認識されません出典。発表では復旧済みの地域なのに自宅は暗いまま、ということが起こり得ます。その場合は電力会社へ個別に連絡すると状況が伝わります。
停電が数時間で終わるなら、懐中電灯とモバイルバッテリーで足ります。数日を超えてくると、話が変わります。冷蔵庫の中身、スマホの充電、夏なら扇風機——このあたりから、電気そのものを蓄えておく手段が必要になります。どこまで備えるかは、住んでいる地域の停電しやすさと、家に電気で動かし続けたいものがあるかどうかで決まります。
水・トイレ・情報をどうするか
停電は、電気だけの問題として終わらないことがあります。マンションで給水ポンプが電気で動いている場合、停電するとそのまま水が止まります。断水と停電はセットで来ると考えておくと、備えの抜けが減ります。
浴槽の水は、飲むためではなく流すため
当日に浴槽へ水を張っておくと、生活用水として使えます。主な用途はトイレを流す水です。飲用には向きません。なお小さなお子さんがいるご家庭では、浴槽に水を張ること自体が溺水の危険につながるため、ふたを閉める・浴室の扉を施錠するといった対策と一緒に考えてください。
流せない前提のトイレを、1セット
断水したとき、あるいは排水管の状況がわからないときは、無理に流さないほうが安全です。簡易トイレを何回分か用意しておくと、この判断に迷わなくなります。必要な数は家族の人数と日数で決まります。
情報は、スマホ以外にもう一つ
停電が長引くとスマホの充電が減り、情報を取るための手段自体が細ります。電池や手回しで動くラジオがあると、充電を気にせず状況を追えます。台風の場合は進路と雨量の情報が続けて必要になるため、この差が出やすい場面です。
予報を見てから買って、間に合うのか
台風の利点は、進路が事前にわかることです。地震にはない猶予があります。ただ、その猶予がどのくらいの長さなのかは、意外と意識されていません。
進路がある程度固まるのは、接近の2〜3日前あたりです。一方で通販の通常配送は3〜5日かかるものが多く、注文から到着までのほうが長くなることがあります。予報を見てから動き始めると、配送日数と台風の速度の競争になる——これが実際のところです。
運営者はEC業界で在庫と物流の実務を約18年経験しています(運営者情報)。売り場の側から見ると、表示されている納期は「平常時に、注文が平常量であれば」という条件つきの数字です。注文が集中すれば出荷は後ろにずれ、被災地域へ向かう便はさらに遅れます。
つまり、在庫があることと、台風までに届くことは別の話です。販売ページに「在庫あり」と出ていても、それは今日注文した荷物が3日後に着く保証ではありません。
当サイトでは、大規模災害の発生後に防災用品の在庫・価格・納期がどう動くかを実際に記録しています。2026年7月の令和8年熊本地震では、発災から6日の時点で品切れや価格の高騰は確認されず、多くの製品が平常どおりの納期を表示していました。ただしこれは地震での観測であり、被災地域外から見た表示である点には注意が必要です。実際の記録は次のページで公開しています。
よくある質問
窓に養生テープを貼れば、ガラスは割れなくなりますか?
割れなくなるわけではありません。テープやフィルムに期待できるのは、割れたときに破片が飛び散る量を抑えることです。飛来物がぶつかる力そのものを止めるものではないため、雨戸やシャッターがある窓は、まずそちらを閉めるほうが確実です。テープは雨戸のない窓を補う手段と考えると位置づけを間違えにくくなります。
浴槽に水を張っておくのは、本当に意味がありますか?
断水したときや、停電で給水ポンプが止まったときの生活用水として使えます。とくにトイレを流す水として役立ちます。ただし飲用には向きません。また、小さなお子さんがいるご家庭では浴槽の水は溺水の危険があるため、ふたを閉める・浴室の扉を施錠するなどの対策とセットで考えてください。
台風による停電は、どのくらい続くと考えておけばいいですか?
多くは数時間から数日で復旧します。ただし長期化した例もあります。2019年の台風15号では、停電が最大約93万戸に達し、ピーク時と比べて99%が解消するまでに約280時間(およそ12日)かかりました。倒木や飛来物で電柱が破損・倒壊し、断線が広範囲に起きたことが理由とされています。「数時間で戻る」前提だけで備えると足りなくなる場面がある、ということです。
停電が復旧したと発表されたのに、自宅だけ電気が来ません。
「隠れ停電」と呼ばれる状態の可能性があります。電力会社のシステムでは、高圧線の復旧作業が完了すると「停電解消」と表示される仕組みになっており、そこから各家庭へつながる低圧線や引込線が損傷していても認識されないことがあるためです。発表上は復旧済みでも自宅に電気が来ていない場合は、電力会社へ個別に連絡すると状況が伝わります。
台風の予報を見てから防災用品を注文しても、間に合いますか?
間に合わないことがあります。通販の通常配送は3〜5日かかるものが多く、進路がある程度固まる2〜3日前に注文しても、通過までに届かない可能性があります。台風は地震と違って予報が出る分だけ時間の余裕がありますが、その余裕は配送日数とほぼ同じ長さしかありません。すでに家にあるものを確認しておくほうが確実です。
毎年やるのは大変です。年に何回くらい見直せばいいですか?
台風シーズンの前に一度、家の外まわりと備蓄の残量を確認しておけば、その年はおおむね足ります。飲料水や非常食は消費期限が数年あるものが多く、毎年すべて買い替える必要はありません。台風が近づくたびに一から準備するより、シーズン前の一度の点検のほうが負担は軽くなります。
まとめ
台風対策は、やることの多さより順番で決まります。買い足しは3日前まで、外まわりの作業は前日まで、当日は屋内でできることに絞る。この区切りだけ覚えておけば、進路予報を見た時点で自分が何をすべきかが決まります。
停電については、多くの場合は数時間から数日で復旧する一方、2019年の台風15号のように99%解消まで約280時間かかった例もあります。どこまで備えるかは、住んでいる地域と、電気で動かし続けたいものがあるかどうかで変わります。必要な備蓄の量は、家族の人数と日数から計算できます。
参考資料
外部サイトは別タブで開きます。出典の内容は各機関の発表時点のものです。
※停電の復旧時間・被害規模は台風の規模と地域によって大きく異なります。本記事の数値は過去の事例として公表されたものです。避難の判断は、お住まいの自治体が発表する避難情報に従ってください。